銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

「盲導犬クイールの一生」その3

クイールは、盲導犬協会の訓練センターに送られます。そこで、盲導犬としての基礎訓練を学ぶのです。

 障害物、段差、角(コーナー)を十分教え込みます。

 あるとき、所長がクイールと訓練中、電話が掛かり、クイールを座らせて、その後「ウェイト」(待て)と命じます。所長がクイールに「待て」と命じたことを忘れ、電話を終えて他の犬と訓練を始めたのですが、クイールの姿を見て、「お前ここで何してんのん」と声をかけたとき、自らが「待て」と命じたことを思い出し、「グーッド」と言って、いっぱい褒めます。


クイールは、「ウェイト」(待て)という命令を守り、ずっと待っていたことは盲導犬として、非常に大事なことですので、所長は、「クイールは。盲導犬になれるかもしれないね。」と最大限の誉め言葉を言います。さらに、所長は、「クイール、鳥の羽の痣がかっこいいね。」「足も長いね。」「美男子だね。」といろいろと褒めます。

 それから、路上訓練に出て。障害物、段差、角を徹底的に教え込みます。

 

 そして、3カ月ほどして、盲導犬ユーザーの渡辺さんにクイールを預けることにします。

 それから約2年ユーザーのところで過ごしますが、次第に渡辺さんは病魔に侵され元気がなくなっていきます。そして、ついに入退院を繰り返すようになります。

 クイールは、渡辺さんの子供の悦男君は「クイールを家で飼ってはいけませんか」と聞きますが、結局クイールは、訓練センターに引き取られ、子供たちに対する盲導犬の実演(デモンストレーション)犬として活動します。


 そして、3年後、ユーザーの渡辺さんは亡くなります。葬儀に出席したクイールは、棺桶に寝ている渡辺さんを見て、寝ていると思っていたのでしょうか、不思議そうに見ておりました。

 それから数年間、クイールは、盲導犬としてではなく、デモンストレーション犬として活動し、身体が弱ってきた11歳過ぎにパピーウオーカーの仁井さん家族に引き取られます。

 

銀座ファースト法律事務所 弁護士 田中 清