銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

真鍋さんのノーベル賞受賞

この10月5日、我が国の四国中央市出身の真鍋叔郎さんが気象物理学の分野で、ノーベル賞を受賞することが決定されました。

真鍋さんは、アメリカの気象局で、温室効果ガスが増えたら気候がどうなるかという気象温暖化問題に取り組んでいらしたそうです。


地球の気候は、大気と海、そして陸地の間で熱や水蒸気がやりとりされ、次々と変化が起きる非常に複雑な現象ですが、真鍋さんは、複雑な関係を数式化して、大型コンピュータを使って世界で初めて予測に成功されたのです。


すなわち、真鍋さんは、1967年に発表した論文において、二酸化炭素の濃度が2倍になると、地球の平均気温がおよそ2.3度上がると予測したそうです。

真鍋さんは、地表面が太陽から受け取るエネルギーから、宇宙に逃げていくエネルギーを差し引いた「放射収支」と、空気や水蒸気が互いにどう影響し合うかを世界で初めて解明したとされています。

1997年、世界各国の政府代表者が日本の京都に集まり、第3回目となる、国連気候変動枠組み条約の締約国会議を開催しました。この会議において採択されたのが、「京都議定書」という国際条約です。


京都議定書では、先進国の温室効果ガス排出量について、法的拘束力のある数値目標を各国毎に設定しました。その内容は、先進国全体で、二酸化炭素、メタンなどの温室効果ガスを5%削減するというものです。


この議定書では、先進国にのみ削減目標が定められ、発展途上国には削減義務が課せられませんでした。 しかし、パリ協定では、先進国・途上国を含むすべての国が削減目標の対象となったのです。 今までは先進国と途上国で意見が分かれ、堂々巡りの議論がされてきました。

オバマ前大統領が、議会の承認を得ずに大統領権限で加盟を決めたパリ協定について、トランプ大統領は、パリ協定により米国は温暖化対策で巨額の支出を迫られる一方で、2025年までに製造業部門で44万人、米国全体で270万人の雇用が失われ、2040年までにGDPで3兆ドルが失われるとして、パリ協定からの撤退を決めました。ポンペオ国務長官は11月4日の声明で、2005~2017年に米国が19%を超える経済成長を遂げる一方で、温室効果ガスを13%削減したとし、「米国は、化石燃料原子力エネルギー、再生可能エネルギーを含む全てのエネルギー源と技術をクリーンかつ効率的に使用する。イノベーションと開かれた市場がより大きな繁栄、より少ない地球温暖化排出ガス、より安全なエネルギー源につながる」と強調しました。


ところで、米国は、民主党政権となり、バイデン大統領になりましたので、2021年2月19日、地球温暖化対策の世界的枠組みの「パリ協定」に正式に復帰しました。バイデン大統領は就任直後の1月20日にパリ協定への復帰を決定し、国連に通知していましたが、同協定の規定により、通知から30日経過後の2月19日に正式に復帰が認められました。


これは、真鍋上席研究員の意向に沿うものであり、本当に良かったと心から歓迎致します。


弁護士法人銀座ファースト法律事務所 弁護士 田中 清