銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

検察修習

 司法修習の現地修習は、検察、弁護、民事裁判、刑事裁判の順だった。
 検察修習は、最初の修習だけに楽しく修習させていただいた。取調べ修習で、恐喝事件の被疑者を取り調べたが、普段真面目なタクシー運転手だったが、つい言葉が過ぎて、恐喝の構成要件に該当してしまったというものだった。奥さんも子供もおり、二度と犯罪を犯すような人ではないと確信することができた。指導検事に、その旨報告し、不起訴裁定書を起案した。

 刑事事件も悪い人ばかりではない。うっかりと魔が射して犯罪を犯してしまったということは、誰にでもあり得ることである。 
 自分は、犯罪など絶対に犯さないと言い切れる人は居ない。駐車違反やスピード違反のような道路交通法違反事件、軽犯罪法違反事件などは典型的なものである。
 むしろ、自分は犯罪を犯さない、犯罪を犯す人間は悪い人間だと思うような人は、検察官や裁判官になるべきではないと、私は思っている。
 検察修習の終わりのころ、指導検事から「田中君、家に遊びに来ないか」と言われ、友人のA君と二人でお邪魔することにした。スキヤキをご馳走になったが、美人の娘さんが給仕をしてくれたことを思い出す。
 おいとまをする直前に、指導検事から、「田中君、A君、検察官にならないか」と誘われた。私もA君も、そのときは、裁判官志望であったが、私は、検察修習をするうちに、検察官も嫌ではないと思うようになっていた。どちらかというと、裁判官志望と検察官志望は、五分五分だったと思う。
すべての修習が終わってから決めようというのが結論だった。

弁護士 田中 清(弁護士法人銀座ファースト法律事務所)