銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

出生その15 割木

我が家は、山をいくらか所有していたが、5反百姓の専業農家だったので、副業として割木を作り、これを売って生活費の足しにしていた。 赤松林に行き、立枯れの松を見つけ、これを切って、リヤカーに乗せて家まで持ち帰る。これを尺二(36cm)又は尺五(4…

出生その14 寒天作り

村の冬は、寒天の干し場のカセ打ちから始まる。 干し場は、収穫が終わった田んぼであり、そこにカセ(杭)を打ち、竹竿を渡し、簀子を敷いて干し場を作るのである。干し場は、地面から40〜50センチメートルの高さにある。 村は、高槻駅から一山越えた盆…

出生その13 松茸

村の周りにはアカマツの生えた広い松山があり、10月末日までは山の持ち主や持ち主から入ることを許された者だけが、松茸を採ることが許された。11月1日以降は、持ち主以外の者でも自由に松茸を採ることが許されるというのが、村の慣習である。 松茸は、…

出生その12 芋粥

芥川龍之介の作品に、「芋粥」という話があります。 この芋粥こそ、自然薯のお粥なのです。 都に五位という風采の上がらない貴族がいました。この人は、年に1回食べることができる芋粥が大好物で、「いつか腹一杯食べてみたい」とつぶやいたのです。 それを…

出生その11 自然薯

秋は、稲の他にも、大豆、柿、栗、サツマイモなどの収穫があった。柿とサツマイモの蒸かしたものは、子供の日常的なおやつであった。自宅には3本の柿の木があり、畑などにあと5本ほどの柿の木があった。自宅の3本の柿の木は、一本で100個以上の柿が採…

出生その10 収穫の秋

秋は、虫の音で始まる。 峠にある上の口バス停から自宅までは、かなりきつい下り坂道になっており、その途中に100メートルほどの竹藪がある。秋になると、この竹藪からクツワムシ、スズムシ、コオロギ、マツムシなどの大合唱が聞こえた。 竹藪を過ぎると…

出生その9 農家の夏

夏の農家の仕事は、田んぼの草取りに始まる。父と母は、夏の間、田んぼを長い間這いずり回って草を取っていた。夏の太陽がギラギラと照りつける中で、両親は、無心で草取りをする。これが農家にとってどれほどの重労働であるかは、計り知れない。稗(ひえ)など…