銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

出生その9 農家の夏

夏の農家の仕事は、田んぼの草取りに始まる。父と母は、夏の間、田んぼを長い間這いずり回って草を取っていた。夏の太陽がギラギラと照りつける中で、両親は、無心で草取りをする。これが農家にとってどれほどの重労働であるかは、計り知れない。稗(ひえ)などの雑草が生えると、稲の養分を吸い取り、稲が十分に育たない。特に、稗はイネ科なので、農薬も効かない。私は、両親にただただ感謝するしかなかった。この申し訳ないという気持ちが、未だに私の胸に迫ってくる。
5反百姓で、さしたる副収入もないのに、子供4人を育て、男の子には大学まで出した両親の苦労は、いかほどのものであっただろう。このことは、後日、項を改めて書くことにしよう。
家では、夏野菜として、トマト、キュウリ、ナス、スイカ、ウリ、トウガラシ、トウモロコシ、秋野菜としてサツマイモ、大豆などを作っていた。
特に、スイカは、子供たちにとって最高のおやつだった。30個ほどのスイカを毎日1つずつ切る。スイカはひと夏涼しいところに置いておけば、腐ることもないので、毎日1個を家族で分けて食べるのは、子供たちの嬉しいひと時だった。
夏の農家の仕事として、水引がある。田んぼが干上がっては稲が枯れてしまう。水路から水を引くのだが、田んぼに水を引きたいのは、どの農家も同じなので、エゴとエゴの衝突になる。「我田引水」という言葉は、正に言い得て妙である。
弁護士 田中 清