銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

出生その8 水泳とゲンジ

夏は、家の前の芥川で、泳いだ。川には、渕と瀬があり、泳げるところはもちろん渕である。
渕には、フチノカワ、ガラ、ドンド、オンマツ、ナガボソ、アオソ、カラト等の名前が付いており、その場所へ行くと友達の誰かが泳いでいる。昼過ぎから泳ぎ始め、唇が紫色になるまで泳ぎ、その後暖かい岩の上で寝そべった。
泳ぎに飽きると、魚を採る。川辺の草むらの下手に網を置き、上手から足で押さえていくと、小さな魚が捕れた。
私の村ではクワガタムシをゲンジという。本ゲンジ(本クワガタムシ)、バケ(ヒラタクワガタムシ)、ウシ(ノコギリクワガタムシ)、ジュウバコ(ミヤマクワガタムシ)などである。本ゲンジは、人気があるが滅多に捕れない。バケとウシが一番人気があった。バケは一番強く、子供の力ではとてもツノを開くことができなかった。ジュウバコは東京では最も人気があるクワガタムシと聞くが、私の村では最も人気が無かった。なぜかというと、ジュウバコは良く捕れる。そして、弱い。色も黒くない。そんな訳で、バケ、ウシが最も人気があり、ジュウバコは人気が無かった。そのほかに、中ゲンジやハサミなどのクワガタ、ヘイケ(カブトムシ)が捕れたが、やはりバケやウシの人気には敵わない。
朝、早く起き、ゲンジを取りに行った。ゲンジが捕れる木(くぬぎやははそ)の木の蜜が出ているところにゲンジは集まる。ハメ(マムシのこと)に咬まれることを恐れながら、朝露の山道を歩き、ゲンジを捕った。小学5年生のとき、全種類のゲンジの雄と雌を集めたことがあった。雌の見分け方がとても難しく、父や兄に聞いて雌を揃えた。一番難しいのは本ゲンジである。まず雌は早く捕れたが、オスを捕えるのは、至難であった。ようやく夏の終わりころに大きな本ゲンジの雄を見つけたときの感動は、今でも忘れられない。そして、その本ゲンジで、ゲンジ収集が完成し、夏休みの宿題の1つが完成したのである。
弁護士 田中 清