麻雀 その１

　司法研修所の寮は、４畳半の畳部屋に板の間と土間１畳半が付いている６畳の部屋だった。
　私は、部屋を見たとき、この４畳半の半畳を外したら麻雀台になるのではないかと閃いた。
　段ボール箱を３〜４個並べ、その上に半畳の畳を乗せたら、十分麻雀はできる。もう少し工夫するとすれば、古い毛布を乗せれば非常に立派な麻雀台ができた。麻雀牌は、浜本さんと買った１０００円の牌、それでも麻雀牌があること自体貴重だった。寮生の中では麻雀をしたのは、一番早かったのではないかと思う。
　しばらくすると、方々の部屋で、同じ手口で半畳の麻雀台を作り、麻雀をする部屋ができた。
　私は、小学校のころから麻雀は知っていたが、いわゆる家庭麻雀であり、年に２回くらいしかやらなかった。司法試験合格後に友人と麻雀をやる回数が増えたが、それでも週に1回〜２回程度のものだった。
　全く下手くそもいいところである。しかし、司法研修所仲間では、麻雀牌を真っ先に持ち込んだこと、４畳半の半畳を外して麻雀台を作ることを発明したことで、すっかり麻雀が得意だと誤解されてしまった。
　このようにして、毎日麻雀と酒に明け暮れる毎日が始まったのである。
　
　弁護士　田中　清（弁護士法人銀座ファースト法律事務所）