出生その４−春その１

寒かった冬が過ぎ、村にも暖かい春がやってくる。
タンポポ、レンゲが畦道を覆い、タンポポを取っては千切り遊びをする。１人がタンポポを花を下にしてぶら下げ、もう一人が横からはたいて、タンポポの首を千切るのである。タンポポを強くするように、首のところを揉んだり、漬け物にしたりして、しなやかで強いタンポポを作って友達と千切り遊びをした。
良く似た遊びに、松葉千切り遊びがある。松葉は、２本足だから、お互いの松葉の選手を選んで相手とどちらの松葉の首が千切れるか競争する。首が千切れた方が負けである。
春の畦道からはヨモギの若葉が取れる。ヨモギの若葉をたくさん取って、これを蒸し、ヨモギ餅にする。栄養があり、しかもおいしい。
山には、ワラビが取れる。３日に一度は山に行き、ワラビを摘んだ。ワラビには灰を掛けて、熱湯を入れ一晩置くと、おいしく食べられる。
イタドリは、友達と争って採り、皮をむいて、そのまま食べる。
春は、あとは春しいたけと竹の子である。母はよく、竹の子とワラビを一緒に煮ていた。
弁護士　田中　清