出生その３ー空

村は、空気が澄み切っている。
毎日、満天に星が見える。天の川が天の中央に横たわっている。
オリオン座、北斗七星、カシオペア座、冬の大三角、夏の大三角、こと座、わし座、白鳥座、いろいろな星が実にきれいに見える。
後日、東京出身の人が、「天の川って見たことがない」と言うのを聞いて、本当に驚いた。当たり前のように空にあった天の川を見たことがない人が居ること自体信じられなかった。
６月には蛍が舞った。１週間ほどの短い期間ではあるが、毎日数えきれないほどの蛍が舞った。
母からは、「蛇も闇夜では蛍のように光っているから気を付けるように」と言われた。
実際に光っているだけで、点滅をしない光を見たことがあるが、それが蛇だったかもしれない。しかし、それが怖くて大急ぎで帰って来たことがあった。

家の前に小さな山があった。山つつじが山一面を覆い、私は、「つつじ山」と名付けた。山の上まで、２０分くらいで行けた。山の上に篠竹の竹藪があり、ここを切り開いて隠れ家を作った。
友達とその隠れ家で一日中遊んだ。