出生その２１ 小学校入学前

　私の村には幼稚園がない。だから、村の同級生たちは、私も含めて誰も幼稚園に行っていない。
4〜５歳のころ、私は、母を質問攻めにして困らせたという。
「空は、何で青いの？」
「雲は、何からできているの？」
「雲は、どうして浮かんでいるの？」
「雨はどうして降るの？」
「晴れているのに、何で川の水はどんどんと流れてくるの？」
余りにも質問が多いので、母は「なぜなぜ、なあに？」という、ひらかなで書いた本を２冊買って私に与えた。母や兄にひらかな文字の読み方を習い、何十回と読んだらしい。今でもその本の記憶が少しだけある。１頁目が「くもは、なにでできているの」だった。雲が水滴や小さな氷でできていると書いてあったので、小さな私にとって驚きだった。
　それから、質問攻めが少しだけ減ったので、母はほっとしたという。
　小学校入学のときに、ひらかなが読めたのは、「なぜなぜ、なあに？」の本２冊のおかげである。