小学校低学年その３ 怪我その２と遊びその１「ベッタン」

小学生のときの遊びに「ベッタン」があった。東京では「メンコ」というらしいが、「ベッタン」と同じものかどうかは、私にはわからない。「鉄腕アトム」や「鉄人２８号」などの漫画のキャラクター、「太閤記」などの歴史ものなどが一枚の大きな型紙に印刷してあり、横約３センチ、縦約５センチメートルに鋏で切り、ベッタンを作る。
ベッタンを叩きつけるときの風を利用して、相手のベッタンをひっくり返せば、そのベッタンをもらえるのである。
いろいろのルールがあり、Ａのベッタンの上にＢのベッタンが乗ると「バクダン」と言い、Ａのベッタンを、上に引き上げてＢのベッタンが落ちなければ、Ｂのベッタンは、Ａのものになる。ＡのベッタンがＢのベッタンの下に潜り込むことを「スクイ」と言い、Ａのベッタンを、上に引き上げてＢのベッタンが落ちなければ、Ｂのベッタンは、Ａのものになる。
学生服や上着を利用して、風を起こしてＡのベッタンをひっくり返しても、それは、「あぶり」と言って無効となる(ひっくり返ってもＡのベッタンをもらうことはできない)。
私は、ベッタンは強い方だったので、かなりの枚数をいつも持って帰った記憶がある。あるときは、１枚もベッタンを持っていなかったので、Ｂからベッタンを借り、勝ち続けて３０枚ほどのベッタンを持ち帰ったこともあった。

　ある日のこと、トラックの下でベッタン遊びをしたことがある。そのとき、荷止めの金属に頭を打ちつけて頭から血が出たことがあった。痛さはそれほど感じなかったが、血がいっぱい出てきたので、びっくりして家に帰った。
　このときも、母は、オキシフルで消毒し、赤チンを塗ってくれ、それで傷は治ってしまった。