高校31 入学試験1日目
最初の試験は、英語だったと記憶する。豆単のお蔭で、ある程度は解けたが、自信は全くなかった。
昼食後、午後からの数学の試験に臨んだ。そこでびっくりしたのは余りにも問題が易しいことだった。京大の数学は難しいことで有名である。200点満点で60点くらいしか取れないことも珍しいことではない。それが異常に易しいことに先ず面食らった。最初だけが易しいのかと思っていたら、それが最後まで易しいのである。200点満点で180点は、取れたのではないかと思った。
そのとき考えたのは、「これでは、合格最低点は100点くらい上がるだろう。いつもの法学部の最低点は、630点くらいだが、おそらく730点にはなるだろう」と思った。「最低点が730点なら相当厳しいかもしれない」とも思った。
京都の気候は「底冷えがする」という。その日も実に厳しい底冷えだった。母から白金カイロを2つもらい、これを手拭いでくるみ、背中とお腹に一つずつ巻いた。そのお蔭で寒さを防ぐことができた。
家に帰ってから200頁の藁半紙で日本史と世界史を勉強した。
弁護士 田中 清