銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

高校30 大学入試当日

 私は、小学校、中学校、高校を通じて、熱があっても学校を休んだことがなかった。だから、熱があるから大学入試を休むという発想は全くなかった。
 3月3日の試験当日になっても熱は38度以下には、下がらなかった。ベスト・コンディションで入試に臨めなかったことは、残念であるが「何とかなるだろう」と思い、出かける支度をしていた。
 出掛けようとすると、母が来て、「私も一緒に行く」と言うのである。私は、「そんなカッコの悪いことができるか。止めてくれよ」と言ったが、母は、どうしても行くと言って聞かない。母は、私が病気でなかったら、付いてくることはしなかっただろう。そう思うと、母の望みを叶えてやろうという気になり、「分かったよ。カッコ悪いなあ」と言いながら自宅を出発した。
父も表に出て、「じゃあ、気を付けてな」と一言だけ言った。
 嗣郎と土居と池谷とは、高槻駅で待ち合わせていた。私がインフルエンザに罹ったことを知ると、我が事のように心配してくれた。
 京都駅から京都大学まで、運転手を含め6人乗りの中型車のタクシーに5人が乗り込んだ。
 試験場に入るまでに整列し50人ずつ並んで教室に入った。私の3つ後ろが土居だった。土居とは一緒に願書を出したのだが、大学の方で順番を外したのだろう。
 私が整列しているとき、他の母親の一人が、私のことを指して、「いやあ、あの男の子可哀想に……。真っ青な顔してるわ」と言ってたことを、母から聞いた。傍目にも相当状態が悪かったのだろう。
 最悪のコンディションだったが、頭は冴えていた。というよりも、「こんな風邪で負けてたまるか。絶対に受かってやる」という思いだった。
 母は、私が試験をしている間、やはり付き添いに来ていた他の4人の母親と仲良くなり、いろいろなお寺を見て回ったとのことであった。
 弁護士 田中 清