銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

大学その16 空手道部退部の誓い

 K子の私に対する真剣な思いを知り、また、お爺さんから「結婚してほしい」と言われたことが私に重荷となったことは、前回に述べた。
 しかし、3週間に一度はデートし、京都の名所を回った。京都の名所というと、寺院が多い。金閣寺銀閣寺、詩仙堂三千院など、できる限りいろいろな名所を回った。

 K子にも善福寺で誓ったように、司法試験を目指す以上、空手道部はいずれ退部しなければならないと思っていた。毎日の練習をして帰宅すると、もはや勉強する気になれない。
しかし、巷で言われているように、空手道部のような武道部を退部するときに、激しいリンチがあることも新聞を賑わせていた。
 2年生5月中旬頃、空手道部総務の山崎先輩の下宿を訪ねた。
 「実は、司法試験を受けたいので、退部させていただけないでしょうか」と、私が言うと、山崎先輩は、
 「おお、お前は司法試験を受けるのか。それなら空手部は止めた方がいいな。分かった。その代り一発でうかれよ。そうでないと承知せんぞ」とすかさず答えていただいた。
 「まさか京大ではリンチはないだろう」と思っていたが、リンチもなく、逆に励まされたことが嬉しかった。
 私は、K子善福寺の誓いと空手道部退部の誓いを心に抱き続けて、受験勉強をしようと誓った。
 しかし、情けないことに、勉強をするにも、何から手をつけてよいか、全く分からない。2年生では、憲法(阿部教授)、民法総則(磯村哲教授)、刑法総論(平場安治教授)の三科目だけの講義が始まったが、他の法律科目は3年生からで、全く授業にも出られなかった。
 しかも、上記三科目の授業は全く面白くなく、理解もできなかった。
 そういうことで、誓いだけで、司法試験の勉強は全くせず、遊び人グループと連日楽しく遊んでいた。