大学３３ 岡山出張法律相談

　３回生の２学期になって、岡山市で出張法律相談をすることになった。
　岡山大学法学部の森下教授が法律相談部の先輩だったので、「もしよかったら、法律相談に来ていただけませんか」と呼びかけたところ、快諾のご返事をいただいた。とは言っても、当時岡山大学には法律相談部がなく、あくまで私たちが出張して法律相談を受けるというイベントだった。
　行きの列車の中で、私が大江からタバコをもらい、生まれて初めてタバコを吸ったところ、気分が悪くなって倒れたが、このことを、後日友人から何度もからかわれた。
　南陽院の下宿で一緒だった秋山に、岡山に行くことを言ったところ、「俺も岡山に帰るから岡山を案内するよ」と言ってくれた。秋山は、岡山朝日高校出身で京大理学部に在籍していたが、列車到着時刻に駅まで迎えに来てくれ、六高跡地となっている岡山朝日高校や操山を案内してくれた。その後旅館に戻り、クラブの仲間と夜遅くまで話し込んだ。

　翌日の出張法律相談では、６０名を超える法律相談者があったことには驚いた。京大のように毎週法律相談をやっておらず、初めての法律相談だったので、来る人が多かったのであろう。
　ここで、多かったのは農地法に関する相談だった。京都では、農地法に関する相談はほとんどなかったのだが、さすがに農家が多い岡山だと、余りの多さに驚いた。当時、農地法の担当者は、私を含め、２〜３名だったので、進んで受けたものの、ほとんど分からなかったというのが現実だった。
　現実の法律相談の難しさと、応援に来てくださった先輩弁護士の鮮やかな回答に舌を巻くだけだった。

弁護士　田中　清