屋久島旅行 その１

　大学の期末試験（卒業試験）は、学生運動で大学が占拠されたこともあって、急遽論文提出で試験に代えるということになった。
　私は、どうしても大学を卒業して司法研修所に入学したかったので、かなり多めに単位を取得することとした。
通常、８２単位（１科目４単位、ゼミ２単位）で卒業できるところ、１２０単位くらい単位を取得することにした。多分、単位は取れたと思うが、その代り、点数は相当悪かったと思う。

　卒業できることがほぼ確実となったので、同じ茨木高校同窓生で、教育学部の池谷成典君と話し合って、卒業旅行に行くことにした。
　行先は屋久島と決めたが、なぜ屋久島だったのかは分からない。
　大阪から夜行列車に乗り込んだが、眠れないので、池谷が持ってきた将棋で、夜通し将棋をした。２人とも下手で、同じくらいの実力なので、勝ったり負けたりが面白くて、ほとんど眠らないうちに、鹿児島駅に着いた。
　鹿児島駅でまず驚くのは、目の前の桜島の噴煙である。噴煙の上がっている火山というものは、高校修学旅行で行った阿蘇山以外をほとんど知らないので、実に興味深かった。

　鹿児島港から屋久島宮之浦港行きのフェリーに乗って、およそ４時間掛けて船旅をした。船の一番安い三等席で、船底だったが、ほとんど甲板に出て景色を見ていたと思う。
　途中、噴煙を激しく上げている硫黄島があり、非常に興味深かった。当時から私は、火山好きである。人生でこの硫黄島は、阿蘇中岳、桜島、硫黄島と３つ目の活火山だった。

　　弁護士　田中　清（弁護士法人銀座ファースト法律事務所）