銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

屋久島旅行 その2

 宮之浦港に着いたのは、午後2時ころだったと思う。とりあえず、行けるだけ行って、その場所で泊まろうという無謀な旅行だった。
 バスは、粟生行きだったと思う。どんどん乗客が減っていったが、そのとき乗客の50歳くらいの男の人から、「あんたたち、どこへ行くの」と聞かれたので、「今日、屋久島に着いたんです。行けるところまで行って、そこで宿を取ろうと思っています」と答えた。男の人は、「もう、帰るバスはないよ。粟生には、泊まるところはないよ」と言うので、「えっ、そうなんですか。どうしたらいいかなぁ」と悩んでいると、やはり50歳くらいのおばさんが「うちで良かったらいらっしゃい」と親切に言っていただいた。本当に感激した。
 おばさんに付いて行くと、古い民家に案内された。
 「何も食べていないんでしょう。何かあり合わせで作るからね」と言いながら、おばさんは夕飯を作ってくれた。そのとき、おばさんは、「実は、私の夫は、2年前漁に出たまま帰らないんだよ。でも、いつか帰って来てくれると信じて待っているんだよ」とおっしゃった。
 おばさんは、床の間のある座敷に布団を2つ敷いてくれたので、すぐに深い眠りについた。夜行列車でほとんど寝なかったのと昼のフェリーとバスでも寝なかったので死んだように寝たのである。しかし、池谷は、次の日「俺は、夕べほとんど眠れなかったよ」というので、「どうして?」と聞くと、夕べは風が強かったやろ。隣の部屋で、おばさんがすすり泣いていたので、眠れんかったわ」というのである。「へぇ、俺は全然気が付かへんかったわ」と言った。
 朝食のあと、お礼のお金を差し出したが、受け取らなかったので、座布団の下に置いて辞去した。おばさんから聞くと「大川の滝という名所があるので、是非行ってきなさい。それから、粟生は、ウミガメの産卵地なので砂浜を見ていきなさい」ということだった。大川の滝は確かに大きな滝だったし、砂浜もきれいな砂浜だった。

 弁護士 田中 清(弁護士法人銀座ファースト法律事務所)