銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

大学49 能登1人旅

 論文式試験が終わったころから、1人旅をしたいと思う気持ちが募っていた。いろいろと考えた末に、石川県の能登にしようと考えた。理由はそれほどない。
 しかし、お金がないので、できるだけ節約しようと思い、ユースホステルのあるところで泊り、大半をバスで回ることにした。
 母から1万円をねだり、あとは、自分の少ないお小遣いを持って、8月上旬に、時刻表を片手に高槻を出発し、米原までは、普通電車で行った。そこから金沢までは急行に乗り、金沢から七尾線に乗り換えて羽咋まで行った。羽咋ユースホステルに泊り、次の日は、バスで能登金剛に行き、その日は輪島のユースホステルに泊った。ユースホステルは、夜には宿泊客(ほとんどが大学生)が集まって、自己紹介をしたり、ゲームをしたりして遊ぶ。その中で、靖子という東京の女子学生と仲良くなった。靖子は、もう1人の女子学生と2人で旅行していた。
 次の日は、バスで千枚田を見学し、平家の落人の時国家を訪ね、更に曽々木海岸を見学した。バスでも行く先々でも靖子らと一緒になり、横浜の男子学生2人の一行とも仲良くなった。
 曽々木海岸の岸壁の上を歩いているとき、岸壁から1m下の砂浜に落ち、岩で足を切ったが、軽傷であり、旅行を続けるには何の問題もなかった。しばらく歩いていたとき、1軒の民家があり、そこのおばさんが「あらぁ、足を切ったの?今、消毒をしてあげるからね」と声を掛けてくれた。おばさんは、親切にオキシフルで消毒をし、切れた個所に大きな絆創膏を貼ってくれ、「これは、予備に使いなさい」と3枚くらい予備の絆創膏をくれた。さらに、おばさんは、「これ、食べる?」と言って、青リンゴを袋に入れてくれた。袋の中には6個くらいの青リンゴが入っていた。何と能登の人はやさしいのだろう。本当に感激した。
 その日は、曽々木ユースホステルで泊まったが、ここでも靖子らや横浜の男子大学生と一緒になった。
 次の日は、禄剛崎から珠洲を見学し、見附島に行った。見附島は軍艦島とも言い、遠浅の海水浴場となっていたので、しばらく1人で泳いだ。その日は、能登小木のユースホステルに泊まったと思う。また、ここでも靖子らや横浜の男子大学生らと一緒になり、再会を喜んだ。私は、次の日、七尾に行き、そこから電車で帰る予定だった。
 「明日帰るから、もう会えないね」と言ったが、どちらからともなく、靖子及びその連れの女子学生に電話番号を教え合い、仮に論文式試験に合格したときの東京での再会を約束した。
 能登1人旅は、これで終わったが、靖子らや横浜の男子学生ら、そして、曽々木海岸の親切なおばさんと出会ったことは、忘れられない思い出となった。

弁護士 田中 清(弁護士法人銀座ファースト法律事務所)