銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

大学48 榎本の来訪

 7月の末ころ、クラスの同級生の榎本から電話があり、「遊びに行ってもいいか」というので、「ええよ」と答えた。
 榎本も短答式試験を合格していたので、一緒に論文式試験を受けていたことになる。しかし、榎本には失礼だが、彼が司法試験を目指していることは知らなかったし、短答式試験に合格したことも、論文式試験直前に聞いたと思う。榎本も、私が、短答式試験に合格したことは、論文式試験直前に聞いたのであろう。

 榎本が、「論文式試験どうやった?」と聞くので、「あかん、落ちたよ」と答えた。なぜ落ちたかの理由を聞かれたので、刑法第1問で、保護法益に占有を書き忘れたこと、民事訴訟法第2問で主観的予備的併合に言及しなかったこと、憲法第1問に自信がなかったこと、商法は、短い時間で書いたので、自信がないことを述べた。榎本が、「他の科目は?」と聞くので、「他は大体書けたと思う」と答えた。私は、聞かれるままに、全科目について詳細に説明した。

 すると、榎本は、笑いながら、「お前は、合格しているんとちやうか」と言ってくれた。「刑法第1問は、不法領得の意思さえきちんと書けてたら、保護法益はそんなに大きなミスではないと思うよ。民事訴訟法第2問は、主観的予備的併合は、書くに越したことはないけど、客観的予備的併合はほぼ満点に近いほどかけていると思うから、そんなに大きな減点にはならへんのとちゃうか。憲法1問も今聞いた範囲やったら、よう書けてるよ。合格点やで」と言ってくれた。
 私は、「そうかな」とも思ったが、「受験までは強気、受験が終わったら弱気」の自分の性格からして、とても合格するとは思わなかった。しかし、榎本が、私が合格していると言ってくれたことは、正直言って嬉しかった。
 榎本の自己採点も聞いたが、気の毒ながら彼が合格しているとは思わなかった。

  弁護士 田中 清(弁護士法人銀座ファースト法律事務所)