タバコ
大学に入ってから、周りの友人は、8割方タバコを吸っていた。これまで、タバコを吸うことは、いけないことと教えられてきただけに、正直言って不思議な光景だった。
クラスの近藤の下宿に行ったとき、「ハイライトが値上がりするから、そろそろ止めようかな」と言いながら、すぱすぱとタバコを吸っていたことを思い出す。
このブログで前にも書いたように、岡山の出張法律相談に行ったとき、大江からタバコをもらって、吸ったところ、真っ青になって気分が悪くなったことを覚えている。
実は、その前にも友人からタバコをもらって、同じように真っ青になった経験がある。
岡山から、司法試験に合格するまでは、全くタバコを吸わなかった。
私が、タバコを始めたのは、司法研修所に入って1か月ほどしたときだった。
そのとき付き合い始めた彼女から、「私、タバコの匂いが好きなの。吸ってもいいわよ」と言われたことが始まりである。その次の日にハイライトを買って、馬橋の寮で吸い始めた。やはり、最初は不味かったが、そのうち慣れてきた。そして2週間もすれば、タバコと離れられなくなった。
特に、食後の一服、いい空気の下で呑む一服は、たまらなく美味しい。
こうして、それから40年間のタバコ人生が始まったのである。もちろん、途中で何回か禁煙したことがある。数えてみたことはないが、少なくとも40回は禁煙して、その都度挫折しているだろう。そして、今やっと、99%タバコの呪縛から解き放たれたといえる。しかし、お酒を飲み始めて、隣の人がタバコを吸うと、たまらず、もらいタバコをしてしまう。この意地汚さが、なかなかタバコとの縁を切らせないのである。
弁護士 田中 清(弁護士法人銀座ファースト法律事務所)