銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

金沢32 商号使用禁止の仮処分事件

もう一つ、仮処分事件で記憶に残っている事件があります。金沢のある料理店の商号「犀川熊の茶屋」が、債権者が使用する「熊の茶屋」の類似商号の使用に当たり、許されないと主張し、商号の使用禁止と200万円の損害賠償を求めました。
 実際の事案を記載する訳にはいきませんので、上記は実際の商号と異なることをご了解ください。
債権者は、金沢市内には「熊の茶屋」という名前を以前から使用しており、類似商号に当たると主張し、債務者は、新商号は「犀川」という固有名詞の文字を付け加えたから、明らかに異なる商号であり、類似商号には当たらないと主張しました。
 この事件は、債務者側から、「和解にしてほしい」との申し出があり、「名前を今後『犀川猿の茶屋』に変更し、今後『犀川熊の茶屋』使わないから損害賠償金は免除してほしい」との申し出がありました。
 私の方で、債権者に対し、「どちらの結論もあり得る。使用期間が短く、今後使用しないことを申し出ているので、ゼロ又は形だけの損害賠償金で和解できないか」と調整し、結果的には20万円の損害賠償金を「犀川熊の茶屋」が「熊の茶屋」に支払うことで和解が成立しました。
双方の弁護士さんは、満足そうな笑顔で、「ありがとうございました。」と言っていただけたことを嬉しく思いました。
 「犀川熊の茶屋」は、商号変更をすることで、全面的に屈服したものの、損害賠償金は請求額の1割でした。一方、「熊の茶屋」側は、商号を変更させたことで仮処分の目的をほぼ達成しましたし、20万円の損害賠償金を支払わせたことで、顔が立ったと思われたものと思います。

 弁護士法人銀座ファースト法律事務所 弁護士 田中 清