小学校高学年その10 農繁期と山行き
専業農家として、子供たちは貴重な労働力だった。
初夏の農繁期5月〜6月、秋の農繁期10月〜11月の日曜日祝日は、遊びに行くことは許されなかった。
初夏は、麦の取り入れ、脱穀、苗取り、田植、大豆植えなどの仕事が次々とやってくる。
秋は、稲刈り、その他の野菜の収穫、脱穀、臼引きなどの仕事がある。
そして、冬になると、山に行って立枯れの木を切って、家まで運ぶ、木を切って割木にして、出荷する。冬は、縄をなうことも手伝った。
このように手伝うことが多かったので、友達から遊びを誘われても、行けないことが多かった。特に農繁期はハイキングなど遊ぶのに絶好の季節である。
そのような状態、特に農繁期の手伝いは、就職するまで続いた。
しかし、農家に生まれ育ったお蔭で、自然との触れあいは友人の誰よりも詳しくなった。
今は、苺やソラマメやえんどう豆が、5月に取れることも知らない人が多い。
しかし、私は、苺というと、5月下旬に真っ赤な実を付ける苺畑の光景が真っ先に浮かんでくる。農家に生まれたことを良かったと思うときである。