銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

尼崎その8   少年審判

 すべての犯罪を犯した少年については、最初に家庭裁判所に送付されます。 
 その中で、殺人、放火、強盗殺人などを犯した少年で、少年審判では処断しないことが相当であると思われる少年については、検察官送致(逆走)をします。
 逆走した少年でも、犯行時18歳以上の少年の場合には、永山則夫連続射殺事件(4人を拳銃で射殺した事件)で、死刑になった事件もありますが、不定期刑(3年以上6年以下の懲役等)に処せられるのが一般的です。
 上記検察官送致(逆走)事件以外は、すべて家裁の少年審判に付されます。
 家裁が行う少年審判で、一番重い処分は、少年院送致です。
 私は、1年間で約2000人の少年事件のうち、約30人に少年院送致の審判をしました。少年事件全体のうち、1.5%です。
 少年院送致相当の事件は、通常、審判不開始、不処分、試験観察、保護観察などを経て、施設に収容して教育しなければ、更生することが困難であるというもので、まず少年鑑別所に20日間ほど収容し、鑑別調査をし、調査官の意見を聞いた上で、どのような処分にするかを決めます。
 少年が、反省しているかどうか、犯罪の性質、更生の可能性、家庭環境、地域環境などを考慮した上で、「まだ少年院に収容するのは早い」というときは、試験観察にして、地域の宿泊及び教育施設を通じて、就労支援施設(お寿司屋さん、クリーニング屋など)に送り、半年間ほど仕事をさせて、地域環境(悪い仲間)から切り離すこと、就労の喜びを感じさせることなどを目的として更生を図ります。
 就労支援施設では、一般よりは相当少ないですが、給料も支給されます。6か月間の就労状況をみて、良ければ、再び審判をして、保護観察処分に付します。
 地域の宿泊及び教育施設から逃げ出した少年については、再び別の施設に変えたりし、情状によっては、少年院送致もあり得ます。

   弁護士法人銀座ファースト法律事務所 弁護士 田中 清