銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

尼崎その2 少年事件1

 私が神戸家裁尼崎支部に赴任したのは、昭和49年4月上旬でした。
 同期の山田裁判官から、「あなたは、少年事件だよ」と聞かされていたので、金沢地裁時代に少年法の本を読んでいました。
 少年事件は、刑事事件を犯した少年の処遇を決める仕事です。
 少年は、20歳以下の人ですが、「14歳に満たない者の行為はこれを罰しない」(刑法41条)となっていますので、少年事件の処遇(保護処分)を決めるのは、14歳以上20歳以下ということになります。しかし、概ね12歳以上の少年も保護処分の対象となっています。
 尼崎支部の少年事件を担当する裁判官は、私一人でした。そこで、尼崎支部管内(尼崎市、西宮市、芦屋市)の概ね110万人のうちの少年の保護処分は、全部私が担当することになっていました。尼崎支部では、年間2000件の少年事件が送致されてきます。ちなみに、神戸家裁では裁判官1人につき年間1500件、大阪家裁では、裁判官1人につき年間1000件と言われていましたので、尼崎支部の裁判官1人の負担割合は、大きいと言われていました。
 少年事件は、成人事件とは異なり、まだ人格の形成途上ですので、教育的指導により立ち直ることがいくらでもありますし、教育的処遇をすることが期待されています。そのため、少年刑事事件については、保護観察処分でも少年院送致でも前科にはなりません。「1度や2度の過ちは許す」というように、少年時代の刑事事件は教育的な保護処分を原則とし、余程重い罪でなければ、家裁の中の処分で決められます。

  弁護士法人銀座ファースト法律事務所 弁護士 田中 清