銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

尼崎その3 少年事件2

 尼崎の少年事件の2000件のうちには交通事件が半数占めていました。
 なお、少年事件は、判事補が単独で裁判できます(少年法4条)ので、当時27歳の私一人で尼崎支部の少年事件を全部処理していたのです。何しろ、若いので、また、金沢の裁判所書記官のEさんの忠告にもかかわらず前髪を垂らしたヘアスタイルでしたので、風貌からいうと、全く少年そのものだったという書記官が多かったです。

 交通違反は、余りにも数が多いので、集団審判といって、交通犯罪として2回目以上に限って集団審判の対象にしていました。最初の違反事件は、概ね審判不開始となり、裁判所に来なくてよいし、罰金も納めなくてよいのです。罰金は、前科になりますので、交通違反を犯しても、前科とならないように配慮するのです。しかし、2回目以上の違反事件は、裁判所に保護者と一緒に来ていただきます。
それが集団審判ですが、一度に約50件、保護者と少年で約100名を一緒に呼んで審判します。
 尼崎支部では週に1度、西宮では、2週間に1度、芦屋では1か月に1度していたと思います。

 3度目の違反少年も1〜3人くらいいます。3度目の違反少年で悪質なものについては、少年鑑別所送致(観護措置・少年法17条)を最初にします。
 残る47〜49人の少年たちも、最初に少年鑑別所送致の言い渡しをしますと、審判の場が引き締まります。「交通違反くらい、ちょろいもんだ。」と思っていた少年も、交通違反でも少年鑑別所に送られることがあるんだと思うと、びっくりするのです。少年鑑別所送致は、概ね1週間から10日くらい少年鑑別所に収容され、「なぜ短期間に違反を繰り返すのか」「精神的又は性格的に問題はないのか」について鑑別するのです。
 私は、集団審判の場で、少年たちには、「スピード違反はなぜしてはいけないのか」「無免許運転はなぜしてはいけないのか」について、皆の前で発表していただくことにしていました。

  弁護士法人銀座ファースト法律事務所 弁護士 田中 清