銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

尼崎その9 少年院送致

 少年審判で、一番重い処分は、少年院送致です。
 その少年院送致でも、13歳以下は、教護院送致、16歳以下は、初等少年院、16歳から20歳までは、中等少年院に各送致するのが通常の例でした。
 さらに、初等少年院中等少年院に送致しても、少年が改善せず、また再犯を重ねてしまう少年については、特別少年院という素行の悪い少年ばかりを集めた少年院もございますし、女子ばかりを集めた女子少年院もございます。少年院送致は、概ね1年3か月程度行きます。
 成人の刑罰(実刑)の場合には懲役6月、懲役8月、懲役1年、懲役1年6月などとバラエティがあり、それを決めるのは刑事事件の裁判官ですが、少年院送致は、少年事件裁判官が「6か月にしなさい」とか、「1年6か月が適当である」とか、言えないのです。
 すべて、収容期間は、少年院側の裁量で決まり、その平均が1年3か月でした。

 その例外的な場合を、私は1件だけ経験しておりますので、次回に紹介したいと思います。
 例外の2番目は、交通少年院です。交通少年院は、平均は3か月程度です。交通事件の中でも非常に悪質な場合や、結果的に人が死亡している場合などで、矯正教育が必要な場合に、交通少年院に送致します。交通少年院では、そのカリキュラムは、道路交通法の教育や実際の事故を見せて、その結果の重大性を徹底的に教えるのです。
 私は、少年院送致で少年を送った場合、全少年につき、少年院を実際に見学し、少年に面会しました。やはり、交通少年院は収用月数が少なく、特殊な交通事犯ですので、少年の表情も明るく、矯正の効果が上がっていることを実感致しました。

 初等少年院中等少年院については、少年によって様々ですが、処分を下した裁判官が面会に行くと概ね喜んでくれるという印象がありました。
 私が、1年間に処分した少年は、審判不開始や不処分を含めて約2000名、そのうち少年院送致にした少年は29名でした。1月平均2〜3名というところでしょうか。

  弁護士法人銀座ファースト法律事務所 弁護士 田中 清