銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

尼崎その6 出張交通審判

 尼崎支部の管轄地域は、尼崎(当時約50万人)、西宮(当時約45万人)、芦屋(当時約8万人)でした。このように、尼崎管内に約100万人の人が居住しており、管内において犯罪を犯した少年は、私が1人で処分を決めることになっていました。
 交通事件も、犯罪です。道路交通法違反事件(無免許運転、スピード違反)、業務上過失致死傷事件などですが、罰金刑でも前科になります。また罰金そのものも支払えない少年がほとんどです。したがって、少年の交通審判においては、説諭をした上で、不処分や保護観察処分に付します。そうすると、前歴にはなりますが、前科にはならないのです。
 例外的に、試験観察にしたり、少年院に送致することもありますが、それは乱暴な運転をして、人を死亡させたような場合に限られます。
 このうち、尼崎の交通審判は、週1回、尼崎支部の会議室で行いますが、西宮の交通審判は、週1回、西宮市に出張して、市の公共施設の会議室で行います。尼崎と西宮の交通審判は、1回につき、約50人の少年と保護者が来ますので、会議室において約100名の前で、少年に質問をしたり、説諭をしたりします。

 そして、芦屋の交通審判は、月に1回、芦屋市に出張して、市の公共施設の会議室で行います。芦屋の交通審判は、月に1回ですが、概ね10人程度の少年とその保護者です。午前10時に、センターに呼び出しをしておきますので、自宅があった池田市から阪急電車で十三駅まで行き、神戸線に乗り換えて「芦屋川」駅まで行きます。
 「芦屋川」駅は、文字どおり、芦屋川の鉄橋の上にありますが、非常にきれいな水が流れています。芦屋川は、六甲山脈に源を発した川ですが、上流には人家がありませんので、清流のまま瀬戸内海に注ぐのです。川底まで透き通っていて、モロコやハヤが泳いでいるのが見えますので、私の実家の近くの川を見ているようで、心が落ち着きます。
芦屋川も綺麗な川ですが、神戸市の高橋川住吉川も同じような清流です。このような綺麗な水を利用して、灘の酒を作るのです。
 芦屋川の両岸には、1軒で、200坪から500坪の大きな民家が並んでいます。谷崎潤一郎の小説「細雪」の舞台になったところです。正に典型的な大富豪の住宅が並んでおり、日本でも有数の高級住宅街でしょう。
芦屋川駅から芦屋川沿いに、国鉄(当時)を超えて、阪神芦屋駅のすぐ近くにそのセンターはありました。
審判を終えると阪神芦屋駅の近くで昼食を食べ、逆のコース阪急芦屋川から阪急電車に乗り、武庫之荘駅から15分歩いて尼崎支部の裁判所に帰るか、国鉄芦屋駅から国鉄の電車に乗って国鉄立花駅から10分歩いて尼崎支部に行きます。

  弁護士法人銀座ファースト法律事務所 弁護士 田中 清