尼崎その5 雪見酒
神戸家裁尼崎支部は、2人の裁判官で事件を処理していました。
家事事件は、私より7期先輩の庵前重和裁判官が担当され、そして、少年事件は、私の担当です。
家裁には、このほかに、裁判所調査官、裁判所書記官、事務官などが居ます。
いつも、40坪くらいの裁判官室に庵前裁判官と2人切りですが、庵前裁判官は、何でも良く知っていらっしゃる方で、私の知らないことをよく教えていただきました。
庵前裁判官は、お酒の好きな方だったのは印象的でした。
あるとき、雪が舞ってきたとき、K裁判所書記官に、「おい、Kちゃん。雪見酒をやろうか」と声を掛けられると、Kさんは直ぐさま、「やりましょう。あとで買い物に行ってきます」と答えました。
雪なんか積もっていませんが、なんだかんだと理由をつけて、飲むのです。
その日は、豚肉のシャブシャブで、午後6時ころから飲みはじめ、午後7時半ころになりますと、Kさんから「田中判事、麻雀に行きまますよ」と声を掛けられます。
月に4回くらい、そのようなお酒の会がありましたが、このときは、雪も積もっていないのに、雪見酒を楽しんだのは、忘れられない思い出になりました。
こじんまりとした、とても暖かい職場でした。
弁護士法人銀座ファースト法律事務所 弁護士 田中 清