銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

尼崎19 特例判事補その1

 裁判官(判事補)は、満5年までは原則として決定だけを単独で裁判することができますが、単独で判決はできません。しかし、5年以上経った裁判官は、原則として、単独ですべての裁判をすることができるのです(判事補の職権の特例等に関する法律)。
 尼崎支部3年目、裁判官になって満5年以上になりましたので、いよいよすべての裁判を単独でできることになりました。
 尼崎支部裁判官会議で、私は、昭和51年4月から尼崎支部の民事単独1開廷と伊丹支部の刑事単独1開廷を担当することを命じられました。

 尼崎支部の民事単独1開廷は、担当事件数約160件、証拠調べは、6か月先でないと入りませんでした。担当事件数は、尼崎支部の民事単独1開廷160件は、2開廷に換算すると約320件ですので民事事件とすれば異常に多く、一般的には処理しきれないほどの事件数です。そして、新件は15件ほど配点されますので、月に15件を落とさなければ、どんどん事件は溜まっていきます。
 証拠調べをすれば和解もできるのですが、証拠調べが6か月も先となりますと、和解もできません。開廷日には、口頭弁論が朝10時〜10時30分に10件〜15件、午後1時10分〜30分に5件〜7件が入っています。その間の午前10時半、午後1時30分、午後3時の証拠調べが入っています。そして、12時、12時半、午後4時、4時半には、和解期日が入っています。
私は、民事事件は、全件和解が相当と信じていましたので、和解を積極的に勧告しました。もちろん、和解を成立させるには、記録を読み込まなければなりません。
 家庭裁判所で一緒に仕事をした庵前裁判官と同室になりましたので、いろいろと困ったことを相談しました。
庵前さんは、「1開廷の係属事件100件になれば理想だなあ。」とおっしゃっていたことが鮮明に記憶に残っております。しかし、1か月に15件の新件が入ってきますので、20件〜25件を処理しなければ、1開廷の係属事件100件には到底なりません。私は、とりあえず、判決1か月10件、和解1か月13件、その他3件という目標を掲げました。

 弁護士法人銀座ファースト法律事務所 弁護士 田中 清