茨木高校合格

茨木高校を受験したのは、クラスの男子生徒では僕と平田の２人だけだった。
特に失敗したというところはなかったと思ったが、合格発表までの１週間は、やはり心配だった。
発表日は、平田と一緒に見に行った。２人の受験番号があるのを確認して、平田と一緒に手を取り合って喜んだ。
発表後、二中に戻り、中村と片山の合格を確認した。礼子の合否も気にはなったので、片山に「うちのクラスから受けた者は、皆受かった？」と聞いたところ、「うん、受かったよ」という答えを聞いて、間接的に礼子の合格を知り、安心した。片山と礼子は、同じ島上高校を受験していたからである。

今でも１つだけ高校入試の問題を覚えている。「すみません」を英語に訳す問題であったが、私は、「Ｉam sorry」と書いたところ、後日英語の得意な友人が、「Ｉbeg your pardon」が正解だと聞いてびっくりした。そんな言葉は、中学校では一切習わなかったからである。しかし、ずっと後になって、両方正解だということが分かり、ほっとしたことを覚えている。
　
　茨木高校は、国鉄茨木駅から徒歩１０分、阪急茨木市駅から徒歩５分のところにある。茨木川が学校のすぐ傍を流れていて、この川の水を引いて、日本で一番最初の５０メートルプールを作った学校である。作った当初は、鮒やモロコなどの川魚が泳いでいたという。しかし、このプールができたお蔭で、水泳のオリンピック選手が、何人か旧制茨木中学から出たと聞いている。
　私の高校時代、もちろん５０メートルプールは健在であったが、水道水を使用していたので、鮒やモロコなどの川魚はいなかった。
　プールの南端には、１０メートルの飛込み台があり、その下の水深が５メートルあると聞いた。
　大阪では一番早く設立されたのが、大阪一中の北野高校であり、２番目にできたのが、大阪二中の三国ヶ丘高校、大阪三中の八尾高校、大阪四中の茨木高校の３つであった。
　茨木高校の卒業生では、川端康成と大宅壮一が有名である。
弁護士　田中　清（銀座ファースト法律事務所）