金沢２１ 白山登山その１

　昭和４７年６月ころ、書記官のＥさんから「白山に登りませんか」と誘われました。民事部に異動された加藤裁判長が、「Ｅさんが言うなら、田中さんも行きましょうよ」と誘われました。時季は、山の天気が最も安定する７月末の土日、メンバーは、私、加藤裁判長、Ｅさんを含む７名くらいでした。
　私は、それまで海ではよく遊びましたが、高い山に登るのは初めてでした。何しろ５時間くらい山道を歩くというので、そんなに歩けるだろうかというのも不安でした。
　白山の登山口に着いたのは、午前９時ころでした。加藤裁判長は、何度も山に登っていらっしゃるそうで、私より１５歳ほど年上でしたが、足取りは軽いものでした。
　歩き出してから２時間が一番辛かったと思います。周りは鬱蒼とした森で、景色もよくありません。しかも夏の真っ盛りですから、本当に暑いのです。
　加藤裁判長は、「田中さん、『ゆっくり、休まず』がいいんだよ。慌てて行くとあとがつらいからね」とおっしゃいます。

「ゆっくり、休まず」
　ペース配分が大事なのです。なるほど、何事にも通じる真理のような気がします。
　３時間ほど歩くと、雄大な白山が遠くに聳えています。「綺麗だな」と思うのももちろんですが、「えっ、あんなに歩かなきゃならないの」と思いました。白山の頂上は随分遠いところにあったからです。
　白山を眺める広場で昼食を食べました。３時間も歩いた後の昼食だけに、本当においしかったです。しかも、空気も綺麗です。

　弁護士　田中　清(弁護士法人銀座ファースト法律事務所)