銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

金沢25 カシオ・ミニ

 昭和47年7月ころ、「答え一発!カシオミニ」というCMソングが流行りました。どの番組を見ても必ず、目にし、耳にしたものです。
 これまでの日本人は、そろばんか手計算でした。そのころも電卓はありましたが、10万円以上もするもので、しかも手の平に入らない大きいものでした。それが、手の平に入るような小さな器械で、複雑な計算があっという間にできるというのです。値段は1万2800円だったという記憶です。
 私は、この電卓を買うことにしました。

 この器械の効用は、前に述べた「模範六法」と並ぶ画期的なものでした。
 難点といえば、6桁までしか計算できないということです。やはり、日常生活でも8桁は必要というのが実感でした。しかし、掛け算や割り算は、あるボタンを押すことによって、12桁まで表示されました。
 民事部に移ってから、数字が役に立つ事件、数字が説得力を持つ事件が多くありました。
例えば、境界確定事件では、公簿面積と実測面積が一致しない場合、裁判所として、判決でどこに境界線を引けばいいのかについて、いい加減なところに引くわけにはいきません。境界確定事件では、占有状況、境界標、公図、公簿面積と実測面積、その地方の慣習や古老の証言などの証拠を総合判断します。
 このうち、原告地及び被告地の各公簿面積と実測面積の差を計算するのに、カシオミニが抜群の働きをしてくれたのです。
 境界確定事件以外にも、賃料増額事件、交通事故事件などカシオミニが十分な働きをしてくれました。
 一足先に民事部に異動されていた加藤裁判長の下での最初の判決は、境界確定事件(簡裁判決の控訴事件)でしたが、カシオミニを使って書いた判決起案がそのまま採用されたときは、本当に嬉しく思いました。

  弁護士 田中 清(弁護士法人銀座ファースト法律事務所)