銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

中学校その10 失恋

 中学3年生の8月初めころ、登校日があった。
 そのとき、誰かから「久美は、中村のことが好きだと言っている」ということを聞いた。これは実にショックだった。中村は当時私の一番の親友である。
 「中村が好きだというなら、なぜ最初に俺のことを好きだと言ったんだ。」
 「なぜ、クラスの皆に俺のことを好きだと言いふらしたんだ」
 「なぜ、席替えの度ごとに俺の隣に座ったんだ。」
 そのような愚痴が私の心の中で渦巻いた。これに対しては、「お前が久美に冷たくしたのが原因だろう」と反論されるだろう。
 しかし、これが私の最初で、最後の失恋だった。というより、これほど失恋で深く傷ついたのは、最初で最後だった。久美が好きだということは誰にも打ち明けていない。自分の心の中だけで思慕し、自分の心の中だけで恋を失った。中村にも片山にも打ち明けていないし、久美ももちろん私が想い焦がれていたことは知らない。このブログが、久美が好きだったことの初めての告白である。
 私は、この失恋を受け入れるのに、しばらく時間が掛かった。毎日毎日が面白くない日々、辛い日々の連続だった。誰にも言わず、日記だけがそのやり切れなさのはけ口だった。
 こうして、私の一人芝居の初恋は終わった。
 しかし、久美が私を捨て、親友の中村のことを好きになったというのは、妙に私のプライドを傷つけた。