銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

大学38 短答式試験に向けて

 昭和43年3月10日から、短答式試験に向けて猛ダッシュをかけることにした。短答式試験は、5月11日であるから61日ある。
 このころになると、1時間に40頁は読めるようになり、西村先輩が言ったことが可能だと分かった。1日10時間の勉強をすると、1冊の本が読める。
 このころになると、民法は、我妻栄・有泉亨編の「総則・物権」「債権」「親族相続」(いわゆるダットサン)の3冊、刑法が「総論」と「各論」の2冊、憲法も「基本的人権」と「統治機構」の2冊の7冊を読めば足りると思った。したがって、短答式までの61日間で最低6回読むこととした。そうすると、42日で足りることになる。あと19日間のうち3日間は、総務として法律相談に行かなければならない。3回は中務ゼミに行かなければならない。1日は、K子と会って、もう当分会えないことを言い渡そう。そうすると、あと12日間は、それ以外の科目の勉強ができると思った。そこで、商法6日、民事訴訟法3日、国際私法1日、会計学2日に充てることにした。
 この計画が崩れ始めたのは、3月下旬ころから原因不明の激しい下痢に襲われたときからだった。母に勧められ、高槻駅付近の笠ノ森医院に行くことにしたが、通うのに1時間、待ち時間を含む診療時間が1時間掛かった。いただいた薬は、きちんと飲むようにしていたが、なかなか治らなかった。4月中旬までで、53㎏の体重が49㎏まで落ち、頬がこけてしまった。4月下旬に2〜3の友人と会ったとき、「何や、田中、どうしたんや」と異口同音に言われてしまった。
 どうも笠ノ森先生の診断が怪しく、もらった薬が効くのかどうか、正に半信半疑だったが、4月中旬に何とか治まった。
 このとき、笠ノ森先生が、「あなたは、お父さんに似て、心臓は丈夫だね」とおっしゃった。聴診器以外に特に検査をしていないので、何の根拠があって、そうおっしゃったのか分からない。しかし、私は、良いことは信じることにしているので、未だに心臓は強いと思っている。心臓は、心の臓器だから、「自分は心臓が弱い」と思うと、外にも出られなくなる人が居ることを後日の社会経験で知った。したがって、笠ノ森先生が、「あなたは、心臓は丈夫だね」とおっしゃったことを、全面的に信用することにしたことは、非常に良かったと思っている。
 こうして、若干計画は狂ったが、短答式科目はそれぞれ5回、あとの4科目もそれぞれ1回は目を通すことができた。
 弁護士 田中 清