銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

大学36 競争率と短答式試験

 私が受験したころの司法試験は、2万3000名が受験して500名が合格するという時代だった。 合格率は2.17%、競争率は46倍というものである。
 そのころの司法試験は、短答式試験で2000名が合格し、論文式試験で520名くらいが合格し、口述式試験で20名くらいが落とされて500名くらいが合格するというものだった。したがって、論文式さえ合格すれば、ほとんどの人が口述試験にも合格していた。
 私は、ここでも大学受験のときに述べた競争率の考え方が当てはまると思った。
すなわち、本当の競争率は2倍であるということである。短答式の競争相手は4000人、そのうち2000人が合格する。それ以外の1万9000名は、記念受験か、実力が全く追いついていないものである。そして、論文式の競争相手は1000人であり、あとの1000人は、論文の実力が全く足りない人である。私の知り合いにも、短答式試験は毎年合格するが、論文式試験は何度受けても不合格となる人が居たが、やはり、論点がずれているか、限られた時間内に答案作成の能力が足りない人ではないかと思われた。
 とにかく競争率は2倍、短答式試験では、4000番以内のグループに入り、2000番以内を目指すことである。

 大学3回生の3学期になると、目指すは短答式試験合格である。短答式試験は、憲法(国会法、内閣法、国家行政組織法を含む)、民法、刑法の3科目であるが、もし合格すれば、商法、民事訴訟法、国際私法、会計学を加えた7科目の論文式試験がある。そこで、私は、2月末までは、商法、民事訴訟法、国際私法、会計学の勉強を中心に勉強し、3月1日から短答式試験日の5月12日までは、憲法民法、刑法の3科目しかやらないと心に決めた。
短答式試験は、憲法民法、刑法各20問、60点満点で、45点以上取れば、ほぼ合格ということだった。要するに、40点以上取る人は4000人おり、そのうち45点以上取る者が合格する。だから、競争率は2倍なのである。

しかし、この当時の短答式試験には、ゼロ回答という制度があった。すなわち、各問20問のうち2問〜3問くらい、全部間違っていて正しい答えがない(答えがゼロである)という、いじわる問題があった。それには、細かいところまで、法律を理解していなければならない。当てずっぽうで答えを書くことができないつらい制度であった。

 弁護士 田中 清