銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

大学46 論文式試験その4

 3日目の民事訴訟法は、第1問が「法定代理人と訴訟代理人の差異について説明せよ」というものだった。易しい問題だったので、ほぼ完璧に近い答案を書くことができたと思う。
 第2問は、「請求の予備的併合につき、具体例をあげて説明せよ」というものである。
 私は、新訴訟物理論と旧訴訟物理論の対立を述べ、それぞれの立場から予備的併合(客観的併合)につき具体例をあげて説明した。ここは、民事訴訟法の中務ゼミで勉強した得意な問題であり、しかも三ヶ月章教授の本で何回も勉強したところである。少し、新訴訟物理論と旧訴訟物理論の対立点の説明が冗長だったかもしれないが、一応合格点は取れたと思って筆を置いた。

 しかし、帰りの電車の中で、私は、第2問で大変な間違いをしたことに気が付いた。請求の予備的併合にも、主観的予備的併合と、客観的予備的併合がある。私は、新旧訴訟物理論の対立に目を奪われ、客観的予備的併合しか答案に書かなかった。しかし、主観的予備的併合も重大な論点であり、これが許されるか許されないかについて、争いがあった。この論点について、最高裁で主観的予備的併合が許されないということで決着したのが、この年(昭和43年)の3月だったのである(最高裁昭和43年3月8日判決)。

 自己採点は、第1問は◎としたが、第2問については、消極ミスではあるものの、重要な論点の記載を落としたので、自己採点は、△とせざるを得なかった。「これで確実に落ちたのではないか」と思った。

弁護士 田中 清(弁護士法人銀座ファースト法律事務所)