銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

二回試験の勉強

 二回試験は、司法研修所の卒業試験のことを言う。司法試験が一回試験であるので、司法研修所卒業試験が、二回試験と言うらしい。
 昭和45年12月になって、二回試験の勉強をしなければならないという空気が教室にも漂い始めた。
 二回試験は、民事裁判、刑事裁判、検察、民事弁護、刑事弁護の5科目で出題される。この5科目ごとに、200頁ほどの白表紙の教科書があった。「民事判決起案の手引き」「刑事判決起案の手引き」「検察」「民事弁護」「刑事弁護」などである。
 あと3か月しかない。そこで、私は、次のような計画を立てた。
 まず、5科目の白表紙の教科書を精読する。民事裁判、刑事裁判については、最高裁判所判例解説の昭和29年度から昭和43年度までの判決要旨だけを精読する。
これとは別に、麻雀仲間の鈴木さんが、「刑法については、藤木英雄教授の『刑法演習口座』がいいよ」と教えてくれたので、その本を買うことにした。なるほど、分かりやすかった。刑法の最新の論点について、非常に分かりやすく解説していた。
 藤木教授は、東大を一番で卒業し、司法試験、国家公務員上級試験をいずれも一番で合格した人ということで有名だった。「一番で合格するということはこういうことなのか」と思うほど、分かりやすい解説であった。難しく書くことはいくらでもできる。しかし、判決でも準備書面でも、分かりやすく書くことが一番求められていることである。自分だけが満足していても、他人に理解してもらえない文章は、最悪である。
 藤木教授の教科書に出会ったとき、なるほど、分かりやすく素晴らしい教科書だと思った。

 弁護士 田中 清(弁護士法人銀座ファースト法律事務所)