銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

二回試験と肩叩き

 二回試験は、ほとんど全員が合格する試験であり、普通にやっていれば落ちる試験ではなかった。
 しかし、裁判官を目指す者にとっては、成績が良くなければ裁判官になれないと言われていた。私は、修習時代に、随分遊んだので、裁判官になれないかもしれないとの心配もあった。
 当時は、肩叩きという制度があり、裁判官になれそうもない者には、教官から「君は、裁判官は無理だから止めた方がよい」ということを言ってくれるというのである。
 クラスで討論をしたときには、「肩叩きは差別であるから止めるべきだ」という意見がかなり多くを占めていた。私は、それには反対だった。「自分が裁判官になれないなら、早く教えてほしい。早く教えてくれたら、喜んで弁護士になりたい」と思っていた。
 当時は、好景気であり、弁護士希望者が多く、裁判官希望者は少なかった。勤務弁護士の給与も東京・大阪で月額10万円前後、裁判官の給与はその半分以下だった。
友人の数人からは、「田中、お前は何で裁判官になるねん。お前は弁護士に向いてるやんか」と口々に言われていた。
 私は、「『人の行く 裏に道あり 花の山』というやろが。こんな不景気な時こそ、裁判官に行った方がええんや」と答えていた。
 結局、肩叩きがないまま、二回試験を迎えていた。

  弁護士 田中 清(弁護士法人銀座ファースト法律事務所)