裁判長の病気その３

裁判長は、１か月と少しで退院されました。

しかし、この間に得た経験は大変大きなものでした。

　１つは、短い間でしたが、合議部の裁判長を体験できたことです。その間に、裁判官の経験も年齢も上でありながら、右陪席を務めていただいた松山裁判官は、その後も冗談めかしながら、「俺は、田中さんの陪席をやったんだからなあ」と何度も言われました。松山さんとは、それ以降も先輩として親しくご指導をいただいたり、ご一緒に居酒屋でお酒を飲んだりしました。

　また、私が裁判長をしているのを見て、修習先の正木先生にびっくりされたのは、今でも強烈な思い出です。

　２つは、リスク管理の大切さとリスクに対面したときの対応を学んだことでした。

　３つには、金田裁判長と左陪席の小佐田裁判官との結び付きが強くなったことです。１か月余りの間、開廷日には、毎日西宮の裁判長の入院先にお見舞いに行き、部の様子の報告をしたことです。そして、小佐田裁判官とは、その帰りに欠かさず居酒屋に行き、お酒を飲んだことです。

　裁判長が退院されたときの喜びは本当に大きなものでした。

（弁護士法人銀座ファースト法律事務所　弁護士　田中　清）