銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

 大阪地裁に転勤になり、第8民事部において民事通常事件を担当することになりました。
 裁判長は、金田育三裁判長、右陪席は私で、左陪席は竹中裁判官で、裁判官になって2年目の人でした。私は、裁判官7年目で31歳、金田裁判長は21年目のベテランで、私と一緒に昭和52年目に新しく赴任されました。
 着任したとき、金田裁判長は、私と竹中さんに対し、次のような話をされました。
 「大阪地裁には23部もの民事部がありますが、うち、通常部は12ケ部あり、11ケ部は特殊部です。8部は、通常部ですが、610件もの事件があります。うち、単独部が私と田中さんで250件ずつ未済事件があります。事件が多いので、証拠調べは恐らく4か月から5か月後でしょう。また、5年以上の長期未済事件が随分多いです。さらに、3年以上、4年以上の長期未済予備軍も随分多いというのが特徴です。係属事件数の多さは、通常部のうち3番目に多いのですが、長期未済の数は一番多いです。そこで、田中さんにお願いがあります。事件数を落とすに越したことはないが、新しい事件はそれほど頑張らなくてもよいのですが、古い事件には、狙いを付けてできるだけ優先的に落とすようにしてください。」
 最後の言葉は、実に奥の深い言葉です。「新しい事件はそれほど頑張らなくてもよいが、古い事件は、できるだけ優先的に落とすように」という言葉を、裁判官としての目標とすべきことだということは、心に刻むべき言葉だと思ったのです。
 古い事件を落とすと、自然と新しい事件も落ちてきます。とにかく古い事件を中心に落とそうと、心に誓いました。
 初めて読む方で、裁判に携わっていない人には分かりにくいかもしれませんが、実に具体的で、私は目標が定まってやる気が湧いてきたのを覚えています。

 弁護士法人銀座ファースト法律事務所 弁護士 田中 清