銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

尼崎12 刑事合議事件と民事合議事件

 尼崎2年目の仕事で命じられたのは、刑事合議事件の左陪席と民事合議事件の左陪席でした。
 ちなみに、裁判所の法廷に座る偉い人の順番は、①真ん中に座る裁判長、②裁判長の右に座る右陪席、③裁判長の左に座る左陪席の順番になります。この左右は、傍聴席から見ると向かって右側が左陪席、向かって左側が右陪席になり、左右が逆になります。
 京都市左京区は、地図で見ると右側、右京区は地図で見ると左側になりますが、これは、御所から南側を見て、左側が左京区、右側が右京区になるのと似ていると思います。
 刑事合議事件の橋本裁判長は、尼崎支部長であり、京都地裁の刑事合議部の部長(裁判長)を経験した方でした。京都地裁の刑事合議部の裁判長は、当時盛んだった学生争議事件を数多く経験された方で、刑事の超ベテラン裁判長と言ってもいい方でした。
 私は、金沢では加藤裁判長、河合裁判長から刑事を教えていただきましたが、お二人とも人格が円満な方でしたが、加藤裁判長は、民事が専門の方でしたし、河合裁判長は、刑事専門でしたが、判決の書き方ではうるさく言う方ではありませんでした。要するに、お二人の裁判長は、刑事は、結論が大事なのであって、判決は簡単なものでよいと言われていました。
 ところが、橋本裁判長は、訴訟指揮も非常に厳格な方でしたが、判決の書き方も、検察官の起訴状の丸写しは許されず、「被告人の生い立ちから犯行に至る経緯、犯行の動機なども詳しく書きなさい」と言われました。
 したがって、判決起案に要する時間は2倍掛かりました。しかし、違った超ベテランの裁判長の訴訟指揮、判決を教えていただいたことは、本当に勉強になりました。
  
  弁護士法人銀座ファースト法律事務所 弁護士 田中 清