銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

金沢その10 職員との交流その3 岩魚採り

7月中旬のころだった。
 「田中判事さん、今度の土曜日の晩、岩魚採りに行きませんか」
 E書記官から声が掛かった。
 「ありがとうございます。行きますよ。何時にどこに集まったらいいですか」と聞くと、
 「夜の9時ころ、ご自宅に迎えに行きますよ。岩魚は、用心深い魚ですので、夜、岩魚が寝静まってから採りにいくんですよ」ということだった。
 全く見当が付かなかった。
 岩魚というものがどういう魚かも知らないし、どれくらいの大きさか、どうやって採るのかも分からない。Eさんが車の中でゆっくりと説明してくれた。
 「岩魚というのは、高級魚で30㎝から50㎝の魚です。50㎝の魚を一匹持っていけば、旅館をタダで泊まらせてくれるほど高級な魚なんです。昼間はすばしっこいので、釣るのも大変です。しかし、カーバイドを焚いて、小川を行くと、夜は寝ているので、それを網で掬うのです」
 「なるほど、寝こみを襲うのですね」
 そのような説明を聞きながら白山の麓の小川に辿り着いた。網を持ってM書記官がカーバイドを焚きながら小川を遡る。幅1mほどの小さな川である。1時間ほど登って行くと、50㎝ほどの岩魚がフラフラと泳いでいるのが見えた。M書記官がすばやく網で岩魚を掬った。網の中で岩魚が躍動する。
 「やったー。1匹採れた」
 午前2時ころまで、小川の中を歩き回ったが、収穫は3匹だけだった。
M書記官がいう。
「やっぱり、岩魚が減っていますね。昔はもっと採れたのですが」
 でも、3匹でも採れて良かった。
 帰ってきたのは午前3時ころだった。
「田中判事さんが持って帰ってください。」というので「いや、私は要らないですよ」の押し問答の結果、私が2匹、加藤裁判長が1匹を持ち帰ることになった。

「本当は、岩魚のコツ酒が一番うまいですよ。岩魚を塩焼きにして、大きなお皿に入れ熱燗の酒を1升ほど掛けて、岩魚を崩しながら皆で回し飲みするんですよ。そりゃあ、たまらんほどおいしいですよ」とEさんが説明する。

そのころは家ではお酒を飲まなかったので、ただ、塩焼きの岩魚を食べただけだった。コツ酒にしないと、岩魚もただの白身魚である。しかし、魚の中では、非常に上品な味であることは確かだった。

  弁護士 田中 清(弁護士法人銀座ファースト法律事務所)