銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

大学その19 法律相談部の日常

法律相談部では、仲間や先輩と遊んだりして、楽しく過ごしていた。遊びでは囲碁が主流で、2人が対戦すると、周りを数人が取り囲み、岡目八目を言い合うというのが例であった。
法律相談部の部室には、①「国立女子大学として、御茶ノ水女子大学と奈良女子大学がある。これは、性別による差別として、憲法14条に反しないか」、②「公社である国鉄では、学生に学割が認められ、安い値段で旅行ができるが、勤労青年には学割が認められず、学生よりも高い値段を支払わされる。これは、憲法14条に反しないか」という2つの張り紙があった。誰が書いたのかは分からないが、数年前に先輩が書いたのだろう。誰も張り紙を剥がす者はおらず、答えも書いていない。
もう1つ、法相音頭の歌詞が1番から5番くらいまで書いてあった。メロディがあるのだろうが、メロディを知らないため、すぐに忘れてしまう。確か、「土曜の午後には法律相談があるので、彼女とのデートも断り、泣く泣く相談に行く」というような内容の詩だったと記憶する。
 土曜日の午後の無料法律相談では、3回生の先輩の横で2回生が相談を聞く。2回生である自分が1年経って、あんな相談ができるのだろうかと心配になった。
 法律相談部では、2回生の1学期から、4回生が2回生を教える講義があった。私は、「借地法・借家法」と「農地法」を習った。しかし、体系だった法律を学んでもいない者が理解できるはずはなかった。
 思えば、無料とはいえ、司法試験にも合格していない学生が市民から生の法律相談を受けるのである。実に危ないことをやっていたと、振り返って思う。しかし、難しい問題や最終的な確認のために主査(教授)の意見を聞きに行っていた。当時の主査は、民法の於保不二雄教授で、本当に何でも知っている人だった。「学生は、主査に聞きに行くことを恥ずかしく思ってはならない。むしろ、学生は、努めて主査の意見を聞き、間違いのない答えを出すべきである」とつくづく思った。
 弁護士 田中 清