銀座ファースト法律事務所所長のつぶやき

弁護士田中清のブログ。最近気になることや、趣味のことなど雑記。

大学31 中務ゼミでの発表

 中務ゼミでの発表は、1か月に1回くらい回ってきたと思う。
 私は、発表の度ごとに、誰も発表していない新しい説を考え、発表した。そのように、新しい説を考えるのが楽しかった。民事訴訟法は、新しい学問であり、まだまだ掘り下げるべき考えが埋もれていると思った。その切っ掛けを与えたのは、三ヶ月先生の新訴訟物理論だった。三ヶ月先生の法律学全集「民事訴訟法」は、細かい字でびっしりと理論が書かれていたが、その一つ一つが面白いと思った。
 法律がこんなにも面白いと思ったのは、三ヶ月先生の本だと言っても過言ではない。
 そして、中務ゼミで発表するとき、相方の下宿に行き、徹底的に何時間も納得いくまで議論した。一つの課題が与えられたとき、民事訴訟法演習はもちろん読むが、三ヶ月先生の説や、兼子先生の説、菊池先生の説なども読んだ。
 そして、中務ゼミで、「当事者の確定」「専属的合意管轄」などを発表した記憶があるが、一番記憶があるのは、「既判力の主観的範囲」だった。忘れてしまったが、このときも、新しい説を発表した。そして、このときに後藤と議論を交わしたことは、今でも記憶に残るが、何を議論したのかは記憶にない。
 短い期間ではあるが、中務ゼミで、民事訴訟法の面白さと法律の面白さを覚えさせてもらった。
 そして、「既判力の主観的範囲」の発表をしたとき、三ヶ月先生のように新しい説を考え発表する学者の世界に魅力を感じ、「学者の道を進もうか」と一瞬思ったが、私は、語学が苦手だったことを思い出し、すぐに諦めた。
 したがって、語学が無い司法試験の道を進むしかないと改めて思った。

 弁護士 田中 清