金沢１８ 両親の来訪

　時間が前後しますが、私の官舎は、うっそうと樹が茂っておりました。職員の人から前の住人の奥様は、肺結核に罹られたとも聞いていました。

　夏の間は涼しくて良かったのですが、金沢の冬が厳しい気候と聞いていましたので心配でした。
　１０月末ころ、大阪から両親が遊びに来てくれました。そのとき、庭を見た父が、「こんなに樹が茂っていたら健康に悪いな。結核になるかもしれない。切ってあげようか」ということでした。
　父は、林業もしていましたので、木を切るのは得意です。近所でのこぎりを買ってきて、庭の木を片っ端から切っていき、日当たりのよい庭にしました。
　「特に、このヒマラヤ杉は一番いかんな。常緑樹やから冬も日陰になってしまうよ」と言っておりました。しかし、太い木でなかなか切れないので、父は木に登って枝を切り落としました。

　これで、万全です。広くなり、木が無くなった庭を見て、庭が明るくなったと思いました。冬のわずかな晴天でも日当たりがよくなるでしょう。
　母は、シイタケを売りに来た行商のおばさんから、籠いっぱいのシイタケを２００円で買っていました。
「こんなにたくさんのシイタケが２００円とは安い。食べるだけ食べてあとは、干しシイタケにすればいい。」と言って、半分くらいのシイタケをザルに入れて庭に干していました。

弁護士　田中　清(弁護士法人銀座ファースト法律事務所)